(息抜き)映画鑑賞 ROTTEN MILK MONEY

映画鑑賞「ROTTEN」
MILK MONEY「搾り取るのは命かミルクか」


酪農家の経営が圧迫されている。

アメリカでは牛乳の消費量が3分の1減少し、牛乳の小売価格は現在45キロで18ドルだ。小規模の酪農家が経営を成り立たせるためには最低45キロ(100ポンド)で22ドルの利益が必要である。以前なら大家族で仲良く経営することが出来た華の時代は過去となり、副業、廃業、若しくは生乳の違法販売に手を出す農家が後を絶たない。真面目に朝から晩まで働いていても、家族仲良く幸せに暮らすことが出来なくなってしまった。

 


以前は政府の一括買取による最低価格保証がなされていた乳製品だが、その政策を逆手に取った大量生産が起こり、年間22億円もの多額のお金が酪農家への支援金として使われた。多くの乳製品が政府所有の倉庫内で市場に出ることなく腐っていった。その後、政策は変更され、乳製品は市場開放され、世界の市場にさらされ、乳製品の圧覚の乱高下は当然のものとなり、酪農家は市場価格の予測をつけられなくなった。乳製品価格が好調であったタイミングに酪農家を始めた人々は、その後世界事情に翻弄され、多額の借金を抱えたまま廃業した。

 

 

利益を得る為に工夫をしている酪農家も少数だが存在している。全牛乳の生産量の1割にも満たない有機酪農は、認定こそ困難であれ100ポンド(45キロ)を35ドルの値段で販売することが可能だ。これは一般的な酪農家の収入の2倍である。販売業者との2年契約で値段が安定しているのも有難い点である。

 


生乳を販売する酪農家も増えているという。生乳は健康によく、万病に効くという噂が世間でまことしやかに囁かれており、それを信奉する人々からの生乳購買力は目を見張るものがある。しかし、この生乳の販売が許可されているのはアメリカ国内でも僅か11の州に留まり、他の州での生乳の販売は違法である。そもそも生乳と市場に出回っている牛乳の違いは何なのだろうか?市場に広く出回っている牛乳は低温殺菌乃至は高温殺菌の加工がなされたものである。一方生乳は加熱殺菌がなされておらず、搾乳後すぐに冷やされ出荷される。

 


 そもそも高温、低温殺菌の文化が始まったのは、19世紀代。この頃は、生乳を飲むことで、その中に存在する大腸菌や危険な細菌によって命を落とす人が少なくなかった。それが、生乳を熱処理することにより細菌類を完全に死滅する事が発見され、牛乳により病気に感染する人の数が0になったのだ。これは大きな快挙である。

 


では、現在の生乳ブームは何を意味するのか?現代の技術進歩と衛生状況の大幅改善により、生乳であっても細菌感染のリスクにおびえる必要がなくなったのだろうか?残念ながら、決してそうとは言えないようだ。アメリカでは昨今、HUSを発症する子供が複数出ている。また2016年には生乳を飲んだことにより集団食中毒が発生している。
しかし、生乳を販売する酪農家は生乳が原因だとは頑として認めない。生乳は健康に良い。万病に効くと主張するばかりである。

 

生乳の販売について。まず、世間一般で良いと謳われているものを安易に信じることの危険性を痛く感じた。生乳の危険性に目を向けず、良い点ばかりを主張する業者にも非難される点は勿論あるが、自分の身は自分で守るのが基本原則ではないだろうか。どんなモノゴトも一面だけを切り取って判断するのはあまりにも危険である。

 


以前鑑賞した映画で「牛乳は子牛が飲むものであり、人間が飲むものではそもそもない。あなたは子牛なのか?」とコメントをしていた人の言葉を思い出した。

地球上に存在する動物の割合は家畜が98%野生動物が2%という割合なのだという。

家畜文化が広がる前には真逆のパーセンテージだったという。酪農文化や農業文化は人々に定住をもたらし、絶対的な安定を与えた。

その恩恵は人類という一部の共同体を切り取って見たら、素晴らしく大きいものであり効率性もまた高いだろう。

 

 

しかし、地球という大きな共同体を意識した時に人間の行動はあまりにも後先を考えていないといえるだろう。もう消費を一切合切抑えたとしても後戻りが出来ない段階に来ているそうなので、私は私なりに納得のいく生き方を貫いていきたいと思うばかりである。