母と共に本当のモテプロフを目指して

 

 最近、母が(私の)出会い系アプリにはまっている。

 

時は2週間前に遡る。30歳を目前に結婚への焦りを見せ始めた従妹が「最近の恋愛事情」について話をしていた時の事。30歳までに結婚を目指している彼女は、職場での出会いが望めないと悟り、出会い系アプリでマッチした人と毎週ご飯に行く生活を送っていると聞いた母は信じられないといった表情をした。

 

「そんな確実性の低い、どこの馬の骨とも知れない人と会うよりは、信頼出来る友達から紹介してもらう方がいいんじゃない??」と始めこそ守りの姿勢を見せていたが、アプリを見せてもらうや否や「ナニコレ。メッチャおもろいやん!!」と上半身乗り出し気味に。

 

人相学を嗜む(嗜む)母は、従妹とマッチングしている人達を次々と断罪するという趣味の悪い楽しみ方をした後に「アンタのプロフィールを見せなさい」と頼まれていないカウンセリングを開始。

 

結果「このプロフィールは可愛くは出来ているかもしれないけれども、貴女の良さが全く出ていない。これで釣れる人は、貴女が一緒にいて幸せになれる人ではない」と完全断罪。

 

「そんなことないもん!コレがモテプロフィールだもん!」と頑固な従妹。

 

上目遣いの写真に少し加工を加えた写真とピンクっぽい写真たち。絵文字満載のプロフィールは、一般的にはウケがいいのかもしれない。事実、従妹の獲得イイネ数は500を超え、人気会員と言っても良いレベルだった。

 

「何事もゴールから考えなければならない。貴女にとって合う人はどんな人なのか。それをキチンと認識出来ていない状態で進めるのは、ゴールの見えないトンネルを松明も持たずに漂っているようなもの。貴女は誰と出会いたいのか?」

 

従妹は見た目こそ派手でありながらも、根は超が付くほどの真面目。これまで付き合ってきた人も顔やスペックの良しあしよりも人としての誠実さに重きを置いていた。そして、それでも尚、相手の不貞で別れを決めている程だった。私からしたら「まぁ。人間、ましては男。そんな事もあるよね~」で済まされる事が彼女には許せないようだった。なんせ真面目なのだ。

 

しかし、現在の従妹の出会い系アプリの使い方は、まるで「スーパーで人気且つお買い得の商品を探している血眼の主婦」ようだった。自分の好みを考えず、口コミが良い商品、他から見て身長、顔、年収を見て一瞬で判断を下し、そのフィルターを見事潜り抜けた人から選択を始める。これまで付き合ってきた人たちが決してそのフィルターを潜り抜け得なかった事も頭からは消えているようだった。

 

「本当にその条件で探すことが貴女にとっての幸せに繋がるのか?」それが母の疑問だったのだろう。それには私も頭がモゲル程に同意した。

 

なるほど。。出会い系アプリの弊害やズレはこういった所にあるのかもしれない。

顔が見えない。伝えられる情報が制限されるからこそ、より一層より精緻に「自分は何を求めるのか」を認識する必要があるのだろう。そういった面では、巷に溢れる実地での出会い仲介業は、仲介者が「相手の総合的な姿」を知っている分だけ確実性が高いと言えるのだろう。

 

 

 出会い系アプリ自体は大学時代、友人とノリで登録した以来1カ月に1度程度の割合で釣果を競い合う程度の関わり方だった(今思えば本当にタチが悪い)。海外では友達作りに多用したが、日本で実際にアプリを通して会った人数は4人位だと思う。

 

 

特に「結婚相手を探したい!」という強い思いも無く「面白い人が釣れるといいな~」位のぬる~い温度感だったので、本当に「適当~~に。ゆる~~く。アプリを削除はしない程度」だった。

 

 本当のモテプロフとは何なのか。出会い系アプリで出せる最高馬力はどれくらいなのか。終わることのない火蓋は切られた。

 

「アンタもアカウント持ってるんか?」と問いただされ、私は携帯を差し出すより他はなかったのだ。