ネパール日本語学習熱について

 

インド料理屋で働いているスタッフは殆どがインド人ではなくネパール人。
という話を聞いたことはないだろうか?

 


事実、ここネパールでの日本留学熱は強く、多くの若者が第二外国語として日本語を選択し、日本語学校で1クラス2500円(ネパール人の平均月収は15000円程度)を支払ってまで日本語の勉強をしているという。彼らの給料から見れば、日本で得られる給料はネパールで稼げる給料の10倍近くであり、少しのお金の節約が多額のネパールへの送金につながると考えられている。

 

 

しかし、日本に留学に来たネパール人を待ち受ける現実は重く苦しいものだ。
彼らは日本語学校への入学金として手始めに60万のお金を前払いする。そして日本語学校でかかる費用(年間100万円)をアルバイトで稼いで補おうとする。60万の借金と毎年100万円のじゅぎょうりょうである。異国の地日本で、彼らは学業とアルバイトの両立をしなければならないのだ。年間100万円をアルバイトで稼ぎ出すことが如何に大変なことか、アルバイトをしたことがある人には、容易に分かるだろう。

 

法定アルバイト時間を超えてアルバイトするネパール人も増加しており、それに下支えされている日本企業(多くはコンビニの深夜営業や飲食業)も多い。

 

 

日本語学校の現状も悲惨なものがある。カリキュラムには1週間で40時間の授業と表記されていたにも関わらず、実際の授業時間は20時間足らずであったり、1人部屋が用意されると聞いていたにも関わらず、1人部屋程度の小さな部屋の中に4つのベッドが並べられていたり。声をあげることが出来ない彼らは泣き寝入りをすることもできず、最も劣悪な環境下で生活せざるを得ないのだ。

 

 

厳しい現状と呼応するようにして、ネパールベトナム人の強制送還が近年急増しているという。在留資格が切れた後にも、帰る術もなく、日本でアルバイト以外の仕事を見つけることもできず、ただ何となく周りから求められるままにアルバイトとして日本にとどまり続けているのだ。

 

 

以前は、中国人や韓国人がコンビニや飲食店で働く姿を見かけたが、今はベトナム人ネパール人にとって代わった。中国人、韓国人にとって日本は稼ぐのに良い土地ではなくなり、殊に中国においては中国で働く方が多くのお金を稼げるのが現状である。事実、私の周りの中国人留学生も皆中国に帰国し、働いている。

 

ネパール、ベトナム人が未だに日本に出稼ぎに来ているのには「日本は豊かな国である」という幻想が未だに健在であるからに過ぎない。それが過ぎ去り、日本での労働環境が粗悪であることが一般的に知られるようになった時、果たして彼らが今受け持っている仕事はどうなるのだろうか。

 

 

彼らにとっての労働環境を整えるのか。それともAIのように人間を介さないシステムをより充実させる道をとるのか。何れにせよ、日本が出稼ぎに良い国だった事実は最早過去のものであり、その現実にしっかりと向き合う必要があるだろう。

 

 

生ゴミ堆肥化プロジェクトの一員であるスラジュ(23歳)も家族の大黒柱として、日本への出稼ぎをする予定にしている。仕事の内容は土木関係。日本人にとってしんどくあまり人気のない仕事である。将来有望、勉強熱心な彼のこれからがどうなっていくのか。
日本人として彼のことを少しでも支えることが出来ればいいなと思う。